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知らない人も多い?債務整理の一つ「特定調停」

金欠のタムラくん

「任意整理」はふつう弁護士に相談するから費用がかかるけれど、「特定調停」なら自分でできるからお金がかからないって聞いたことがあるけれど、そもそも「特定調停」って何かな?

ラッキーくん

「特定調停」も任意整理と同じく債務整理の一つの方法です。
任意整理と似ていますが、裁判所で行うので、「裁判所が行う任意整理」という言い方もされます。

特定調停とはどのようなものか、メリット・デメリットも含めて解説していきましょう。

特定調停とは?

「特定調停」とは簡易裁判所の仲裁によって債務者と債権者の話し合いを行い、返済条件の軽減等の合意が成立するように促す、債務整理の一形態です。

多額の借金を抱えた人が、破産することなく債務の負担を軽減する方法として、2000年に「特定調停法」が施行され、その後、多くの人に利用されています。

申立の要件は「特定債務者」であること、つまり、支払不能に陥るおそれのある債務者であることです。

現在支払不能になっていなくても、通常の方法では返済が滞る可能性があれば、申立を行うことができます。

任意整理との違い

似たような手続きに「任意整理」がありますが、どこが違うのでしょうか?

大きな違いは「裁判所の存在」です。
特定調停の場合は裁判所が仲裁を行いますが、任意整理は債務者(弁護士が代理人となるケースが多い)と債権者が直接交渉を行う私的な交渉となります。

また、特定調停では調停が成立すると「調停調書」が作成され、これが判決と同等の効力を持つため、仮に調停の成立後に支払いが滞った場合には債権者は訴訟を起こすことなくすぐに給与などの差し押さえが可能になります。

特定調停のメリット

特定調停のメリットについて説明します。

支払いの督促が止まる

特定調停の通知をすると、その時点で債権者からの督促が止まります

給与の差し押さえなどの強制執行手続きを取られている場合、「強制執行停止申込書」を提出し、裁判所が「特定調停の成立のためには強制執行停止が必要」と判断すれば、強制執行が停止されます。

これは、任意整理にはないメリットです。
任意整理は裁判所を介さないため、強制執行を停止することはできないのです。

将来利息がカットされる

元本は減りませんが、将来利息、すなわち和解成立以降の利息は免除されます。

利息の支払いが免除されることで返済すべき金額がわかりやすくなり、また確実に減っていきます。

毎月の返済額を減らすことができますし、今までと同じ金額を支払うなら、返済を早めることもできます。

安い費用でできる

任意整理は弁護士あるいは司法書士に依頼して手続するのが一般的で、当然、費用がかかります。

これに対し、特定調停は、もともと、弁護士費用を払えず任意整理ができないという人のために、裁判所の調停委員をつけて協議できるようにしたもので、現時点で収入がなくても申立を行うことができます

ただし、任意整理と同様、3年(長くて5年)の返済計画を債権者と合意しなければならないので、調停が始まるまでには収入を確保する必要があります。

調停の相手を選ぶことができる

また、「調停の相手を選ぶことができる」という点も挙げられます。
この点は任意整理と同じです。

複数の債権者からお金を借りている場合、その全ての債権者と調停を進めるのではなく、調停相手となる債権者を選ぶことができます。

「自動車ローン」や「住宅ローン」などを調停相手から外すことで、ローンで購入した財産を差し押さえられずに済むのです。

特定調停のデメリット

元本は基本的に減らない

任意整理と同様、将来利息はカットされますが、元本は基本的に減りません

利息制限法に基づいて「引き直し計算」を行い、正しい借金額を明らかにしますので、過払い金が存在すれば、それを元本返済に充当することによって元本が減りますが、過払い金が無い、もしくは少ない場合には減債効果が見込めません。

過払い金を返還してもらうことはできない

債務の引き直し計算を行うので過払い金があるかどうかは分かり、また元本返済に充てるところまではできます。

それでも余った場合、任意整理なら現金で受け取ることができるのですが、特定調停の場合、過払い金として返還してもらうことはできません

過払い金がないことが明らかな場合は問題ありませんが、ありそうな場合はデメリットといえます。

それではいつどのように請求すればいいのでしょうか?
特定調停後に直接業者に連絡・交渉し、それでも払ってくれない場合は裁判を起こすことになります。

自力でやるのはかなり大変なので、そのような手間をかけたくなければ、特定調停を行う前に弁護士や司法書士に相談してみたほうがよいでししょう。

信用情報に事故情報が保存されてしまう

自己破産のように「官報」に名前が載ることはありませんが、信用情報機関に「特定調停」を行った旨の情報が保存されます。

いわゆるブラックの扱いになり、5年間は新規の借り入れやクレジットカードの申し込みができなくなります。

必ず交渉が成立するわけではない

特定調停は、任意整理と同様にあくまでも本人同士の交渉が基本です。
裁判所の調停はありますが拘束力を持つものではありません。

なので、常に交渉が成立するわけではありません

それぞれの状況にもよりますが、特定調停を申し立てることで確実に返済負担が少なくなるとはいえないことは覚えておきましょう。

返済が滞った場合に差し押さえられてしまう!

特定調停が成立すると、裁判所で「調停調書」という書類が作成され、債権者と債務者の両方に送付されます。
これは、裁判所の判決と同じような効力を持ったものです。

もし特定調停の成立後に返済が滞ってしまうと、債権者はこの調停調書にもとづいて、給与の差し押さえなどの強制執行の手続をとることができます。

そのようなことにならないように、よく考えて返済計画を作成することが大切です。

調停委員は必ずしも債務整理の専門家ではない

すべての調停委員が債務整理に精通している訳ではありません。
引き直し計算を間違うなどのケースもあるので要注意です。

手間がかかる

自分でできるので費用が安く済むのはよいですが、当然、それだけ手間がかかります。
平日に行われる調停の日に裁判所に出廷しなければならないので、仕事の調整も必要です。
必要な書類も自分で準備しなければなりません。

スケジュールと手続きの流れ

(1) 申立書の提出

まず、簡易裁判所に対して「申立書」を提出します。

(2) 裁判所から債権者への通知

裁判所から債権者に、特定調停が開始されたことが通知されます。

この通知がなされると、貸金業者などからの直接の取り立ては停止されます。

(3) 1回目の調停

申立書が受理されたのちに「調停期日呼出状」が送付されますので、その日には必ず本人が裁判所に赴く必要があります。

もしもどうしても外せない用事がある場合には、早めに裁判所に連絡をしておきましょう。
「黙って欠席」などということは決してないようにしましょう。

調停期日呼出状の日付に裁判所に向かうと、まず第1回目の特定調停が行われます。
出席書は申立人(本人)と調停委員(通常は2人)であり、債権者は出席しません

1回目の調停では、債務者がどういった原因で借金を抱えてしまったのか説明し、現在の債務の状況、返済計画などについて話し合います。

▶調停を取り下げられてしまうことも!

1回目の調停で、調停委員に「特定調停は難しいのではないか?」と思われてしまうと、「取下書」を書かされ、そのまま特定調停が取り下げられてしまうこともあります。

「特定調停が難しいと思われるケース」とは、債務者の収入が非常に少なくて、債権者と合意できるような返済計画で返済できそうもない場合です。

また、返済能力はあっても、何らかの理由で調停委員に「返済は難しい・無理だ」と思われてしまったらアウトです。

重要なのは、きちんと返済計画を練っていること、その計画に沿って返済する能力と意思があるということを、調停委員の人にアピールすることです。

(4) 2回目以降の調停

2回目以降の調停では債権者も呼び出されますが、直接顔を合わせることはありません。

債権者と債務者がそれぞれ別室で待機して、調停委員が調停室にそれぞれを呼び出し、主張を聴取します。

2回目の調停で話し合いがまとまれば調停終了ですが、まとまらなければ、また調停を行うことになります。

(5) 調停成立

調停が成立すると、合意された返済計画が記載された「調停調書」が作成され、債権者・債務者に郵送されます。

ただし、必ず調停が成立するとは限りません。

特定調停はあくまでも調停の手続きであり、自己破産と違って法的な拘束力を持ちません。
そのため、債権者の同意が得られない場合もあります。

そのような場合、調停委員会が職権で調停条項を定めて解決を図ることもあります。
それでも同意が得られなければ、自己破産などの手続きに移行することになります。

とはいえ、自己破産などをされてしまうと債権者は残債をほとんど回収できなくなってしまいますので、最終的には合意に至ることが多いです。

▶成立までの期間は?

調停を何度行うことになるかによって異なります。
調停が月1回程度で、3~4回程度になることが多いので、3~4ヶ月ということになりますが、個別の状況によります。

各種審査への影響

デメリットのところでも触れましたが、特定調停を無事に終えても、その後しばらく不便な思いをすることになります。

クレジットカード

特定調停を行うと、5年間は「個人信用情報機関」に名前が載ることになります。
そうなるといわゆるブラックになり、新規の借入やクレジットカードの新規申し込みができなくなります。

新規の借入については、むしろできないほうが同じ失敗を繰り返すリスクがなくなるとも考えられますが、クレジットカードのほうは、無いと生活に支障が出る場面も多々あるでしょう。

現金払いで代用できる場面も多いですが、仕事や生活の都合でどうしてもクレジットカードが必要になるような場面も少なくありません。

その対策としては「デビットカード」が有効です。
これは与信枠が無く、利用のたびに銀行口座から引き落とされる形になりますが、ブラック状態でも作ることができます。

機能自体はほとんど通常のクレジットカードと同様なので、大変便利です。

自動車ローン

自動車はそれなりに高い買い物なので、ディーラーから自動車ローンを組むことを勧められます。

しかし、信用情報に「特定調停を行った」旨の情報が載っている間は、自動車ローンを組むことができません。

一般的には銀行系カーローンよりも信販会社の車ローンの方が審査に通りやすいとされていますが、ブラック状態ではどちらの自動車ローンでも無理です。

信用情報から情報が削除されるのを待って自動車ローンを申し込むほかに選択肢がありません。

住宅ローン

住宅ローンの場合も自動車ローンと同様に、個人信用情報に事故情報が載っている限りは審査に通ることはまず不可能だと考えた方が良いでしょう。

▶信用情報の「起算日」は?

ここで気になることは、信用情報に事故情報が載っている期間である「5年」の「起算日」です。

特定調停申立ての時点でしょうか?
特定調停成立の時点でしょうか?
それとも、その後3年間返済して完済した時点でしょうか?

実は、信用情報機関によって異なるのです。

消費者金融が主に加盟している信用情報機関であるJICC特定調停申立ての時点を起点としており、信販・クレジットカード会社が主に加盟しているCICや銀行が主に加盟しているKSC完済日を起点としています。

ということは、特定調停申立てから5年間、消費者金融からのキャッシングができず、完済から5年間、特定調停申立てから数えると8年間+α(特定調停にかかった期間)、クレジットカード住宅ローン・自動車ローンも申し込めない可能性が高いということです。

この点はきちんとリスクとして把握しておく必要があります。

編集部まとめ

特定調停は、弁護士費用などのお金をかけずに、裁判所という公平な立場の介在があって行えるところがよいですね。

信用情報がブラックになるなどデメリットもありますが、将来的に自己破産などという事態になるよりは、早めに何らかの手を打ったほうが得策です。

任意整理や、あるいはまだそれほど厳しい状況でないのであればおまとめローンなども検討した上で、ぜひ一歩踏み出しましょう!