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生活保護の基礎知識~受給要件や受給額などを学ぼう

金欠のタムラくん

なんだかいつも金欠状態。
ホントに行き詰まったら「生活保護」があるのは知っているけれど、中身をよく知らないなあ。

ラッキーくん

まずは、きちんと仕事をして無駄遣いをしないことが大切ですね。

とはいえ、人生、何が起こるか分かりません。

もし自分に万が一のことがあっても焦らないよう、あらかじめ生活保護の基礎知識を身につけておきましょう。

どのような人が受給できるの?

生活保護は「世帯の収入が国で定める最低生活費を下回る場合、足りない部分について保障する」制度です。

仕事の給与、年金、各種福祉手当、仕送りなどを合計して、なお最低生活費に満たない場合に、その足りない部分が保護費として支給されます。
無職・無収入でなくても受給できます。
生活保護の基礎知識
といっても、ただ単に収入が少なければ受給できるというものでもありません。
以下の3つの条件を満たした上でなお収入が最低生活費を下回っている場合にのみ、生活保護を受けることができます。

  1. 援助してくれる身内や親類がいない
  2. 全く資産を持っていない
  3. 病気やケガなどやむを得ない事情により可能な労働に制限がある
  4. 利用できる公的扶助等はすべて使う

1.援助してくれる身内や親類がいない

民法では、「直系血族および兄弟姉妹には、互いに扶養する義務」と定められています。また特段の事情があるときは、3親等内の親族間において扶養義務を負わせることができるともしています。

つまり生活に困窮した場合、まずは親族間で助け合うことが求められているのです。

生活保護を受給するためには、援助可能な親族がいないことが条件の一つに挙げられています。

生活保護の申請をするとまず、扶養義務者である3親等内の親族(通常は「親、子供、きょうだい、配偶者」)あてに、援助するだけの資力があるかどうかの確認が入ります。

これは「扶養照会」というもので、源泉徴収票の提出まで求められる大変綿密なものです。
万が一扶養照会を無視して回答しないと、取引のある金融機関などへ資産調査が入ることもあります。

2.全く資産を持っていない

生活保護は貯金や不動産などの財産がなくなって初めて受けることができるものです。
活用できる資産があれば、生活保護を受ける前に売却などをして生活費に充てなければなりません。

ただし、手持ちの現金が全くのゼロでなければいけないのか、車の所有は絶対にダメなのか、などについては地域差もあり一概には言えません。

▶自動車の保有

自動車の保有は原則認められません。

しかし、障害があり移動のためにどうしても必要な場合や、山間部などで車がないと生活できない場合、また、求職活動や通勤などに必要な場合などはその限りではありません。
その地方やその家庭なりの事情をもとに、ケースワーカーが判断します。

▶貯金、現金

全くのゼロでなければいけないわけではありません。
地域にもよりますが、数万円程度は認められるようです。

▶不動産

「持ち家があったら生活保護は認められない」と思われがちですが、それは誤りです。

土地や建物などの不動産が、周囲の家庭に比べて豪勢だったり、資産価値の大きな家だったりする場合は処分しなければならなくなりますが、そうでなければ、持ち家に住みながら生活保護を受給することができます。

どのくらいの資産価値ならば売却するのかは、基準で定められています。

▶生命保険

貯蓄性のある生命保険は資産と判断されるため、解約しなければなりません。
掛け捨てのものであっても、解約返戻金が戻ってくるようなものについては資産と判断されます。

▶その他

パソコン、スマートフォン、携帯電話などはグレーですが、「求職活動に必要である」と判断されれば所持は認められます。

3.病気やケガ等やむを得ない事情により労働に制限がある

じゅうぶん就労可能な状態とみなされると、生活保護対象外と判断されてしまいます。

病気、ケガなどの明確な要件がないけれど就職難により仕事に就けない場合は、その現状を福祉事務所に説明してわかってもらう必要があります。

4.利用できる公的な扶助制度はすべて使う

年金、失業保険、児童手当など、利用できる公的扶助はすべて使った上で、それでも足りない場合に生活保護を受けることができます。
見落としていないものがないか、今一度確認しましょう。

ケース別解説~こんな場合はどうなる?

前項で、生活保護を受給するための基本条件を見てきました。
ここからは気になるケースごとに、もう少し突っ込んで解説します。

母子家庭の場合

大前提として、受けられるほかの制度をすべて使い切ることが母子家庭における生活保護の受給要件です。

例えば、18歳未満の子どもがいる母子家庭で、高額の収入がない場合は、児童扶養手当を受給することとなります。

それ以外にも公的年金を受給していたり、別れた夫から慰謝料・養育費をもらい受けていたりする場合もあるでしょう。

こういった「収入」を全て合算した上で、それでも最低生活費に満たない場合において、生活保護が認定されるのです。

もちろん、資産を持っている場合は売却が条件になることもありますし、3親等以内の扶養義務も課せられています。

また、シングルマザーであっても自身の父母と同居している場合は、世帯全体の収入が最低生活費を下回っていることが条件になりますから要注意です。

彼氏と長く同棲をしている場合は内縁の夫とみなされ、彼氏に扶養義務が課せられることもありますから、こちらも気を配りたいところですね。

無職者の場合

何らかの事情で仕事ができない、就職活動に励んでいるが仕事が決まらない、などの理由でやむなく無職・無収入である場合も、受給要件を満たしていれば生活保護に頼ることができます。

無職者の場合最も注意しなければならないのは、定住先があるかどうかです。
生活保護の手続きには必ず定住先の住所が必要なのです。

ところが、無職・無収入だと物件を借りることが非常に困難です。
無職だと保証会社の審査にも通りにくいといわれています。

どうしても賃貸物件を借りられない場合は、一時保護施設シェルターにいったん入居し、定住所を獲得しましょう。

年金受給者の場合

受給している年金額が最低生活費を下回っている場合のみ申請でき、その差額を保護費として受け取れます。

もちろん、資産がなく、援助してくれる近親者がいないなど、ほかの要件も満たしていなければなりません。

年金と生活保護費のダブル受給をしても、合計して最低生活費を超えた金額を受け取ることはできません。

なので、ダブル受給をしても、年金の受給をやめて生活保護一本に絞っても、受け取る総額に差はないということです。

生活保護の原理・原則とは?

生活保護は「生活保護法」に則った制度です。

この法では生活保護の4つの原理が定められています。

<生活保護の基本原理>

  1. 国家責任の原理:国が責任を持って国民の保護を行う
  2. 無差別平等の原理:国籍や理由にかかわらず保護を受けられる
  3. 最低生活の原理:健康で文化的な最低限度の生活の維持
  4. 保護の補足性の原理:資産や能力等すべてを活用しても足りない場合に保護

例えば今までに何度か出てきた、「扶養義務者による扶養が生活保護に優先されて行われなければならない」ことや、「受けられるほかの制度を受けてもなお不足する場合のみ受給できる」ことなどは、4つ目の「保護の補足性の原理」に基いています。

更に、生活保護を実施する際に守られるべき4つの原則があります。

<生活保護の基本原則>

  1. 申請保護の原則:原則として本人が申請
  2. 基準及び程度の原則:一定の基準を満たした者が対象
  3. 必要即応の原則:必要な部分を援助
  4. 世帯単位の原則:世帯と一単位として保護

▶申請保護の原則とは?

上記の4原則の中で最も重要といえるのが「申請保護の原則」です。

「生活保護は申請しなければ受給できない」というのが「申請保護の原則」です。
どんなに困窮し、路上生活をしていても、保護課に赴いて申請をしなければ基本的には受けられないのです。

また申請できる者は、保護を必要としている本人、その扶養義務者、その他同居の家族に限られています。
これ以外の者は、たとえ弁護士であっても代理申請をすることができません。

なお申請なしでも必要な保護がなされることがありますが、これは、保護を必要とする人が窮迫した状況にある場合など限られた特例のみです。

生活保護は何をカバーしてくれるの?

生活保護費は、国の定めた基準により、世帯の必要に応じた額を受給できます。

生活扶助

生活を営む上で必要な様々な費用に対して扶助が支給されますが、一番基本になるのが「生活扶助」です。

詳しい額は厚生労働省のホームページで見ることができます。
自分で住んでいる地域がどの等級なのか確認し、それをもとに生活扶助基準額を調べることができます。

障害者手帳を持っていたり、重度障害者認定を受けていたり、他人の介護が必要と認められていたりするとそれぞれが加算対象になります。

母子家庭の場合、妊娠中の人がいる場合、中学校修了前の子どもがいる場合も加算があります。

加算額についても、同じく厚生労働省のホームページで確認できます。

基準は毎年更新され、また地域によっても異なるので、大体の数字ですが、

  • 30歳一人暮らし:6~8万円程度
  • 41歳夫・36歳妻・4歳子ども:14~16万円程度(子ども養育のための加算済)

といった感じです。

この「生活扶助」の他、世帯の必要に応じて、以下7種類の扶助を受けることができます。

  • 住宅扶助:アパート等の家賃
  • 教育扶助:義務教育を受けるために必要な学用品費用
  • 医療扶助:医療サービスの費用
  • 介護扶助:介護サービスの費用
  • 出産扶助:出産費用
  • 生業扶助:就労に必要な技能の修得等のための費用
  • 葬祭扶助:葬祭のための費用

また、火災で家財道具を焼失したり、長期入院後に新たに居をかまえるなど、予想外に多額の出費が必要になる場合は、「一時扶助」を受けることができます。

生活保護のメリット、デメリットは?

働かなくてもお金がもらえるとなると、良い点ばかりのような気もしてくる生活保護。
実際に、若く就労能力のある人たちが、安易に申請し受給しているケースもあるようです。

けれど本当にメリットだけなのでしょうか?
暮らしにかかってくる制限には何があるのかなど、まとめてみました。

生活保護のメリット

まずはメリットを確認していきましょう。

▶保護費が受け取れる

言うまでもないメリットです。しかも借金ではなく、基本的には返還義務のないお金
必要最低限度ではありますが、その地域で暮らしていくことができる金額が保証されます。

また、受給できる扶助は上記のように8種類あり、日常生活費である生活扶助、家賃に充てられる住宅扶助、教育費にかけるための教育扶助などから、出産扶助や葬祭扶助などまで幅広くカバーしています。

医療扶助として「医療券」を発行してもらえるのも助かりますね。
これを保険証の代わりに提示することにより、生活保護受給者は自己負担額ゼロで病院にかかることができます。

生活のいろいろなシーンを心強くサポートしてくれるといえるでしょう。

▶年金保険料ほか、各種支払いが免除される

生活保護受給者は、国民年金保険料の支払いが免除されます。
ほかにも、NHK受信料が免除されたり、自治体によりますが交通機関の無料パスが配布されることもあります。

保護費は免税なので、住民税や所得税も課されません。

生活保護のデメリット

次に、デメリットを見ていきましょう。

▶貯金ができない

保護を受けると、貯金ができません
こっそり仕事をして収入をもらい、貯金する、というのは当然ダメ。
そればかりか、保護費を切り詰めて使いって余剰を貯金することすら禁止されています。

生活保護とは、生活に必要最低限の金額が支給されるものなので、貯金ができないというのが大原則なのです。
万が一貯金や収入が生じた場合は、保護費の減額または返還義務が課せられます。

▶借金ができない

保護費で借金の返済をすることは認められていません
各種ローンやクレジットカードの使用は借金とみなされるので、これらも不可です。

▶資産の購入・所有ができない

車や家など、必要最低限とは認められないようなものを購入することはできません。
車は、維持費がかかることや、事故の場合に費用がかかるなどの観点からも、所有を制限されています。

パソコンやエアコンなどについては、生活必需品なのか資産なのか微妙なところ。
自治体やケースワーカーの判断にゆだねられています。

積立タイプの生命保険などは資産と扱われます。
申請時に解約を求められますし、受給中の新規加入はできません。
また、万が一保険金を受け取った場合は収入とみなされ、返還対象となります。

▶住まいが制限される

賃貸住宅に住む場合は住宅扶助が出ますが、基本的に扶助額内に家賃を納めなければなりません。

生活扶助などを切り詰めて家賃に充てることもできないため、住める家はかなり限られてきます。

▶収入の申告義務

保護受給中は、毎月の収入状況を申告しなければなりません。
収入を申告しなかったり、過少に申告したりすると、保護費の返還を求められたり、場合によっては受給停止措置を取られることもあります。

▶病院の制限がある

医療費が無料というメリットがある反面、通える病院には制限があります。
原則として指定医療機関でなければ受診できません。

どのように申請するの?

生活保護は、現在住んでいる地域の福祉事務所に申請します。
もし住民票がなかったり、住民登録しているところとは別の場所で生活していたりする時は、今居住している場所の福祉事務所でOKです。

申請から決定までは、次のようなステップを踏んでいきます。

ステップ1 相談

まず、生活保護申請書を受け取り、相談するため、窓口へ行きましょう。

このとき可能であれば、現在の状況を客観的に説明できる資料があると話がスムーズに運びます。
たとえば収入、支出、預貯金などの状況を整理したメモなどがあると役に立つでしょう。

生活保護は国民に保障された権利です。
落ち着いて、生活に困っていることや生活保護を受けたいという意思をしっかりと窓口へ伝えましょう。

ステップ2 申請

必要事項を記入した生活保護申請書を提出します。

ステップ3 調査

続いて調査が行われます。
主に、就業可能かどうかの調査、預貯金など資産の調査、援助が可能な家族の有無の調査などです。

また、傷病手当金や公的年金、各種手当の受給など、生活保護以外の制度を受けることができないかどうかも検討されます。

ステップ4 決定

申請書を提出してから、原則14日以内、最長でも30日以内で決定がなされます。
結果は郵送または電話で通知されます。

申請が通れば生活保護費の受給が開始されますが、通らなかった場合は却下された理由が書かれた通知が出されます。
万が一却下理由に納得がいかない場合は不服申し立てをすることもできます。

借金で首が回らない!受給中の債務整理はできるの?

どうしても借金が返せないとき、通常であれば債務整理などの手段をとることができます。

では、生活保護受給前から持ち越している借金で苦しんでいる場合、受給後いったいどのような手立てをとることができるのでしょうか?

任意整理、自己破産、過払い請求の3点に絞って確認しましょう。

任意整理はできない!

任意整理というのは、借金を分割で返済するというような和解契約を、裁判をせずに債権者と債務者との間で結ぶことを目的としています。
つまり、減額されるにしても、返済そのものは継続するということ。

けれど前述のとおり、保護費を借金の返済に充ててはいけません。
なので、生活保護受給中の任意整理はできないということになります。

自己破産は基本的にOK

生活保護者に借金がある場合、保護費から返済ができないため、その債務を支払うことはできません。
つまり、支払い不能状態にあるといえます。

自己破産の要件は、支払いが不能の状態であることですから、保護受給中に自己破産手続きをとることは可能です。

債務整理にはいくつかの種類がありますが、生活保護者が債務整理をするとしたら基本的にこの自己破産しか方法がありません。

過払い請求もできる

さて、過払い金が発生していることが明らかになった場合、保護受給中でも過払い金請求はできるでしょうか?
答えはYES。過払い金請求の権利は保護受給中でも守られています。

しかし注意しなければならないのが、返還された過払い金は収入とみなされるという点です。

そのため、実際に過払い金が戻ってきたら、生活保護費の受給をいったんストップし、全額回収しきったところで再度受給審査をするか、回収した過払い金全額を自治体に納めるか、どちらかの対応をしなければなりません。

万が一、過払い金を回収した事実を申告しないまま受給を続けていると、不正受給とされてしまいます。
必ず申告し、ケースワーカーの指示を仰ぎましょう。

編集部まとめ

健康で文化的な最低限度の生活を守るための「生活保護」。

何らかの事情で生活に行き詰まってしまった時には、無理な借金をしたりしないで、生活保護を申請しましょう。

その前に、年金や手当など利用できる制度がないかも要チェックです。